「もんじゅ」や「ふげん」と聞くと、福井県にある原子炉施設を思い起こす方も多いでしょうね。
事故を繰り返す、良くないニュースで有名になってしまいましたが、どちらも仏さまのお名前から取られています。この仏さま方、東運寺では本堂の真ん中、ご本尊お釈迦さまの脇をしっかりと固めるように座っておられます。

むかって右、獅子の背中に乗っておられるのが「三人よれば文殊の智慧」といわれる文殊菩薩さま。広い見方でものごとを観察され、一つだけにとらわれることがありません。

 

右手で智恵の剣をかざし、左手には巻物を握っておられます。おそらく経典でしょう。

 

獅子の吼え声は、仏さまの説法に例えられます。

 

左で白い象の上におられるのが普賢菩薩さまです。

こちらは慈悲の行いをなす仏さまです。生きていて、つらくてつらくてどうしようもないとき、心のこもった言葉をかけられるのはどんなにうれしいことでしょう。慈悲は、苦しいときほどその輝きをまします。

 

手にお持ちなのは、蓮華の花びらですね。

 

白象は、縁起の良い動物とされているようです。

 

文殊さまも普賢さまも「菩薩」と呼ばれる仏さま。観音さまやお地蔵さまとおなじです。菩薩はとくに大乗仏教において、たいせつにされる仏さまです。さとりの境地にありながらも、あえてその世界に安住せず、人々の身近にあって導くものであると、長く信じられてきています。

この菩薩さまのお名前が、なぜ原子力設備に使われたのか不思議ですね。もしかすると、エネルギーの使い方に関係しているのかも知れません。

私たちが生きていくための最大のエネルギー、それは欲望です。ところが、欲望も原子力も、ちょっと間違えばとんでもない破滅に向かってしまいます。善悪ふたつの顔を持つこの力も、文殊の智慧と、普賢の慈悲のおこないがはたらいてこそ、生きていく支えとなるのです。