お釈迦さまのご誕生をお祝いする「花まつり」を、ひと月遅れの5月8日になされる地方も、多くあるようです。じつは兼務している、京都府中部のお寺もそうで、このゴールデンウィーク中にお勤めしてまいりました。
そこでも同じように、花御堂を飾り、誕生仏に甘茶をかけてお参りされるのですが、独特だなと思ったのは、お参りのみなさんが、甘茶を「マムシ除け」のためにお持ち帰りになることです。
その地でマムシのことはよく耳にしていたので、そこにお住まいの方々は、やはりマムシが怖いのだな、と、そして、お釈迦さまによる、マムシを遠ざける力が望まれているのだな、と実感しました。
これで、ふと思い出したのが、埼玉県八潮市で起きた道路陥没事故の犠牲となった運転手の方の、ご遺体が見つかって収容された、というニュースです。5月2日のことでした。
思いがけない、というには、あまりにも悲しい事件でした。ですので、このニュースには、直接に縁のない方でも、心からほっとされたかと思います。私もそうです。
私としては、ふだん意識には上らなくとも、こういったことが、自分に降りかかるのでは、という恐れがあるため、ここまでほっとしているのではないか、と想像しました。
これほどのことではなくとも、生きていれば思いがけないことに出会うものです。思いがけない幸せなら大歓迎でも、思いがけない不幸なら、できるだけ遠ざけたいでしょう。
思いがけない、いやなことに遭ってしまったら、私たちはその中で、できることは何だろうと探します。ご自身のご経験にもとづいて、向かったり、逃げたりなさることでしょう。
そんなとき、たとえば兼務しているお寺の檀家さんなら、この花まつりにお参りなされたご縁が力になりますようにと、念じています。
ここをご覧のみなさまにおかれましても、花まつりに限らず、仏さまにお参りなされたご縁が、みなさまに勇気をもたらすものでありますようにと願っています。
(写真は、先月東運寺にてお勤めした、花まつりのときのものです)