本堂の中央におまつりされている本尊がお釈迦さまです。

さて、いろいろなところに、さまざまな仏さまがおまつりされています。観音さまや、お地蔵さまあたりが有名でしょうか。
ところが、お釈迦さまとその他の仏さまとでは、じつは決定的な違いが一つだけあるのです。

それは、お釈迦さまは実在の人であったということです。
およそ2500年前、今のネパールあたりにある小国の王子としてお生まれになりました。

王子ですから、裕福な生活をされていました。大勢の人たちにかしずかれ、季節によって住むところも変わっていたそうです。
ところが王子は、これはほんとうの幸せを得られる生き方ではないと感じ、家を出て修行の道を歩まれました。

現代日本の常識から考えれば、エリートコースから外れた落伍者ともとられかねません。
しかし、時代や国境を越えて、お釈迦さまは信仰と尊敬を集められています。

それは、お釈迦さまが、老いて死にゆく恐怖の克服と、限られた時間の中で生きていくことの尊さを、人々に身をもって説き続けられたからなのです。曹洞宗では、このお釈迦さまをすべての仏さまの根本と考え、おまつりしています。

 

東運寺の釈迦像は木造で、台座を含めた高さは約120cm。坐禅を組まれた、ごく一般的な形のものです。
昭和9年の室戸台風で前の本堂が全壊し、同13年に再建されたときに、脇の仏さまたちといっしょに彫られたものと考えられます。