墓地に入って左手のいちばん奥に、並べられた無縁仏さまを守るようにして、2体の仏さまがいらっしゃいます。
雨風のせいか、お顔がはっきりしないのですが、向かって左が大日如来さま、右が阿弥陀如来さまのようです。「如来(にょらい)」と名のつく仏さまは、お顔など、パッと見た感じでは区別がつきにくく、組んだ手の形で判断します。
大日如来は曼荼羅のご本尊。密教の仏さまですね。お釈迦様のさとりを、すぐれてあまねく輝く光に例えたのが、その名の由来のようです。大日さまが主人公の経典には、宇宙全体をおおい、仏教の教えを象徴する、とても重要な仏さまとして登場します。日本では、その名より、太陽信仰に通じるものもあると言われています。
この手の組み方は「智拳印(ちけんいん)」と呼ばれるもの。左手の人差し指を立て、それを右の手のひらで覆っています。
阿弥陀さまは、浄土教のご本尊として、もっとも有名な仏さまのひとつですね。
日の沈む方角、はるか西の彼方の浄土から、私たちを見守ってくれている仏さま。「アミダ」とは古いインドの言葉で、無限の寿命を持ち、無限の光明を放つものという意味です。「ナムアミダブツ」と唱えて自分を心から信じる人々を、すべて救う誓いを立てている仏さまです。
阿弥陀さまの手の組み方はいくつか種類があります。ここにある阿弥陀さまは、手を組んだときに、左右の人差し指を上に向かって伸ばす仕方をされています。
じつは、この2体の石仏は、いつ、どこから、どうやってこの東運寺にやって来たのか、まったくわかりません。しかし、奥の方から墓地全体を、ひっそりと見守ってくださっているようにも思えます。
お墓参りの折には、どうぞこの仏さまも探してみていただき、手をお合わせくださいませ。