「他力本願」、という言葉があります。

もしかして「他人任せ」という、マイナスのイメージをお持ちでしょうか。本来は、阿弥陀さまへの信仰を表すプラスの意味なのですが、あまりそこまでは知られていないでしょうね。

損な役回りの「他力本願」に対し、じつは「自力本願」という言葉もあります。
一見、反対語のように見えます。これら、どちらも信仰の心構えを説いていて、けっしてそうではないように思います。

ところで信仰には、その対象となる仏さまへの信頼が欠かせません。
これは私の考えではありますが、「自力」とは、「信頼する自分の意志」。「他力」とは、「自分を信頼させてくれる仏さまの力」、なのではないかと思っています。

 

でも「信頼」って、もちろん仏さまだけへのものではないですよね。
私たちの日常で、ふつうに意識されるものだと思います。
あたりまえのことですが、これは1人だけでできあがるものではありません。「信頼をする自分」と「信頼をさせてくれる相手」が欠かせません。

親子や夫婦、友人の間など。信頼できる相手がいるとしたら、どんなに幸せなことでしょう。「自力」のように、自分から心を動かさなければ信頼は生まれませんが、それは「他力」のように、心を動かさせてくれる人がいてこそ成りたつのです。どちらかひとつだけでは、たぶんうまくいかないような気がします。