京都では今夏、祇園祭「後祭」の復活が話題となりました。祇園祭は、平安時代に大流行した疫病を、平癒させるために始まったお祭りと聞いています。私たちは時代を問わず、嫌なことから逃れられるようにと願って生きていることがわかります。
ところが、なかなかそうはうまくいかないのが人生というもの。世の中には、「自分の思いで変えられるもの」と「変えられないもの」があります。そして私たちは、ときにその区別をうまくつけられません。
たとえば自分が老いていくことは、自分の力で止めることはできません。起こってしまったことを、なかったことにもできません。そこで悩むのは、どうやら、その区別がうまくつけられていないようです。
しかし私たちは、その苦しみを和らげる力を持つことができます。それをもたらすのは、お釈迦さまのみ教えです。
それは、「変えられないものを変える力」を持つことではありません。
それは、「変えられないものは変えられないと見極める力」です。変えられないものを変えようとすることが苦しいのだと気づき、変えられることだけを探してやってみようか、、という姿勢につながります。
ふりかえると私たちは、どういう状況の中でも何ができるかを選んで、そのときを生きるしかないことを知っています。私たちは積み重ねられた経験によって、ものごとの受け止め方を学んでいきます。
これにきちんと「見極める力」が備わったら、思わぬ災害や不幸に遭ったとしても、もっと落ち着いて受け止められることができるでしょう。
その力があれば、もしもうまく受け止められない時があっても、その人の苦しみは和らいでいるでしょう。
何度も何度もやり直してみようという、気持ちの余裕が生まれていくのです。