東日本大震災から3年半。アメリカ同時多発テロ事件から13年がたちました。
月日の早さを実感します。テレビでまさに生中継された、2機目の激突も鮮明に覚えています。

ベルリンの壁が壊されていく映像を見ながら、東西の冷戦が終わってこれからどんな世界になるんだろうと、半分どきどき半分ひやひやしていました。ですが、当時も今も、こんな展開は思いもよりませんでした。それだけ中東を問題というのは、冷戦どころではない根深さを持っているということなのでしょう。
冷戦時代にも危機はたくさんあったでしょう。それを回避してきたのは、米ソそれぞれの不信と誤解を解き合い最悪の事態を避けようとした両首脳の努力でした。

 

しかし、ここであわせて思い起こすのは、カウンセラーで有名な河合隼雄さんの言葉です。
曰く 「ものごとは努力によって解決しない」
もとはクリシュナムルチというインドの哲学者のセリフだそうです。じゃあどうすれば良いんだ・・という突っ込みも聞こえてきそうですね。解決を絶対視すると、そのための努力が重荷になったり、逃げになったりしてしまうことがあり得るという警告のようです。

たしかに平和をめざして進むなら、いまの世界状況はとても明るいとは言えません。解決としての平和は、未来永劫やってこないんじゃないかとまで思います。
しかし、じゃあこのままで良いのかとも思いません。手探りでも努力が必要でしょう。

こういうときによく引用されるお釈迦さまのお言葉に

「実にこの世においては、怨みに報いるに怨みを以てしたならば、ついに怨みの息(や)むことがない。怨みをすててこそ息(や)む。これは永遠の真理である」
(『ダンマパダ 5』)

というものがあります。
かんたんにできることではありません。おぼつかないながらも、繰り返し繰り返し気をつけて過ごすための警句ですね。お釈迦さまを信じる私たちの、心の平安を目指す信念です。そして、これを聞くと、平和とは結果なのではなく、そこに向かって進む行程を指すと言っても良いのかなあ・・とも思います。

(『ダンマパダ』は『ブッダの真理のことば』中村元訳より引用しました)