お寺にはさまざまな場所に仏さまがおまつりされています。曹洞宗の寺院では、お手洗いにも仏さまがいらっしゃいます。
そのお名前を「烏枢沙摩明王(うすさまみょうおう)」さまと言います。

「うすさま」とは古いインドの言葉で「けがれを焼き尽くす」という意味だそうです。「明王」は仏さまの種類をいい、不動明王のように怖い顔をして、悪魔を追い払おうとしています。
そのはたらきから、お手洗いにおまつりされているわけです。ここも仏さまのみ教えを聞く場でもあるのです。

 

どんな形であれ、お手洗いのない生活は考えられません。そんなあたりまえのことだからこそ、仏さまは大切に思われました。
ていねいに掃除されたお手洗いの、なんと気持ちのいいことでしょう。なにげない暮らしの中に、より良く生きる道があると、この仏さまはおっしゃっているようです。

東運寺の烏枢沙摩明王さまは体長30センチ弱。上半身が裸で飾りをまとい、右手に斧を持っています。左足を大きく上げて右足一本で立つ、この仏さまの伝統的なお姿をされています。
「火頭金剛(かとうこんごう)」という別名があるのですが、その名の通り髪の毛は炎のように逆立っています。さらに後ろに3つの炎を抱え、煩悩を焼き清浄にするお役目を持っておられるのです。