ほかの仏さまとは、ちょっと違います。
羅漢(らかん)とは、古いインドの言葉「アルハット」からきたもので、「尊敬できる人」、「供養するに足る人」という意味があります。もともとは悟りを得た人に対する尊称なのですが、今では、お釈迦さまのお弟子さまを指すことが多いようです。

ふつうは16人の仏さまからなっています。東運寺も、その「十六羅漢」なのですが、五百羅漢と呼ばれる数の多いものも見かけます。
16は、東西南北に4人ずついらっしゃって、お釈迦さまをお守りする役目。それぞれにちゃんと、お名前がついています。500は、お釈迦さまが亡くなったあと、その教えをまとめるために集まった人数からきた、と伝えられています。

十六羅漢も五百羅漢も、おまつりされている有名なところはたくさんありますね。日本全国いずれのところにおいても、ひとつひとつお顔のちがう、とてもユーモラスな仏さまに出会うことができます。

すました顔だけでない、わらった顔、怒った顔、ちょっと情けない顔。わたしたちがふだん見せる、あらゆる表情がそこにあります。わたしたちの人生が、そのお姿のなかにすべてふくまれているようです。
「死んだ人に会いたければ羅漢さまに詣れ」といわれるのも、そこからなのでしょう。

東運寺の羅漢さまは、ご本尊さまをまつる須弥壇奥の上段に、左右に8人ずつ分かれていらっしゃいます。合掌されていたり、楽器のようなものや、巻物のようなものを持っておられたり、蛙のような生きものに座っておられたりと、ひとりひとり違った特徴があります。
高いところにあるのでちょっと見にくいのですが、ぜひ一度、少し視線を上げていただいて、そのお姿に触れてくださいませ。