大黒さまは七福神のおひとり。神さまなのに神社ではなく、お寺でおまつりされているのを、ふしぎに思う方もいらっしゃるかも知れません。また、そのふくよかなスタイルと笑顔、福袋をかつぐお姿から、日本神話の大国主命(おおくにぬしのみこと)と区別がつかないことも多いようです。大黒も大国も、ともに「だいこく」と発音できることも大きい理由なのでしょうね。
もとはインドのふるい神さまでした。マハーカーラというお名前で、ヒンドゥー教では重要な神さまである、シヴァ神の別名と言われています。マハーカーラは、恐ろしいお顔をされているそうです。悪魔をけちらす一方、信じる人々は飢えに困らないと伝えられてきました。
平安時代、日本に伝わってからは大黒天と呼ばれ、仏さまを外敵から守る神さまとして、たいせつにされるようになりました。
長い時間をへていつしか表情は優しくなり、江戸時代には、米俵のうえに乗る今の格好になったようです。悪魔をけちらす勇ましい性格より、豊作をもたらす神さまとしての信仰が、中心となってきたわけです。食事にかかわることから、多くのお寺では、台所ちかくにおまつりされています。
七福神のなかまに加えられたのもこのころで、あらゆる福をさずける神として人気があります。
東運寺では、玄関を入って左手奥にいらっしゃいます。おなじ台所の仏さま、韋駄天さまのおとなりです。高さ15センチ。かわいいお姿です。