なかなか普段は実感しませんが、健康で毎日を過ごせることは、なんと幸せなのでしょうか。お薬師さまは、そう願う人たちにこたえると信じられている仏さまです。
とくに現代は、健康への関心が高い時代ですが、いつも思うようにはいきません。そのためでしょうか。お薬師さまは観音さまやお地蔵さまとならんで、多くの信仰を各地で集められています。

 

お寺の門をくぐって左側(東側)に建っているのが薬師堂です。
堂内にはお薬師さまを真ん中に、右に日光菩薩、左に月光(がっこう)菩薩、両脇には守り神である十二神将がまつられています。
左手に薬の入った壷をお持ちなのがお薬師さまのしるし。日光・月光の両菩薩には、「その力が昼夜にわたるように」という思いが込められているのです。

 
令和に入り、薬師堂の災害修復工事とあわせて、中の仏さま方も傷みを直して頂くことになりました。生まれ変わったお薬師さまが、私たちを見守ってくださります。


修復前、平成までの仏さま方です。


令和の修復成った仏さま方です。須弥壇やまわりの壁も、新しく塗り直されました。

 

修復前と後の、お薬師さまと日光菩薩。
左手に薬壷をお持ちです。

 
東運寺にあるお薬師さまは、お寺の創立に関わるたいへん重要な仏像です。
聖徳太子が彫ったという伝説までありますが、じっさいは藤原時代(平安時代後半)の特徴をしているとのこと。江戸時代に大きな修復を受けているようです。また、令和の修復で、火災の被害にも遭っていることもわかりました。

いずれにしても、江戸初期に今の位置におちついた東運寺よりも、はるかに長い歴史をへて今に伝えられてきました。そのあいだずっと、人々の願いを向けられてきたお薬師さまのお顔を、どうぞ見にいらしてください。
なお、薬師堂は防犯のためふだんは閉めております。お正月やお盆、春秋のお彼岸には開けておりますので、その折りは堂内にてお参りいただけます。

 
お薬師さまについて、こちら、や、こちらもどうぞご覧ください。

令和修復のお世話になったのは、松久宗琳仏所様です。すばらしいお仕事に、深く感謝申し上げます。