お釈迦さまは実在の方で、紀元前500年ころ、いまのインド北東部で活躍されました。曹洞宗の、そして東運寺の、ご本尊の仏さまです。

お釈迦さまは、80才でお亡くなりになったと伝えられており、日本では、そのご命日は2月15日となっています。お寺では「涅槃会(ねはんえ)」といって、2月1日から15日まで、本堂の向かって右側の部屋に、写真の涅槃図をかけておまつりします。

東運寺の涅槃図。
高さおよそ220センチメートル、幅およそ110センチメートルの、大きなお軸です。

 

悲しみに暮れる、多くのお弟子さまにかこまれての、最期であったようです。
左下、頭を右にして倒れているのは、気絶してしまったアーナンダ(阿難尊者)です。お釈迦さまに、常に付き従った方です。

 

8本立っている木が、『平家物語』で有名な沙羅双樹です。左の4本が白い花を咲かせ、右の4本は枯れてしまっています。
右上の、天から降りてくるのは、お釈迦さまのお母さま、マーヤー(摩耶夫人)です。

 

お釈迦さまを慕う、たくさんの動物たちも駆けつけています。ここで猫のことがよく話題になりますが、この画には、右下に三毛猫のような動物が見えます。

 
涅槃図で描かれているのは、お釈迦さまを慕う人たちが、悲嘆に暮れる場面です。

涅槃会は、お釈迦さまを賛嘆することはもちろんですが、その亡くなるお姿から、現代に生きる私たちが学ぼうとする気持ちの表れでもあります。どんな時代であっても、どんな生きものであっても、命の終わりを避けることはできないからです。

お釈迦さまが目指された幸せとは、限りある時間の中で、いかに善き人生を送れるか、ということでした。涅槃会は、このことを気づかせてくれる機会なのです。

 
写真はいずれもクリックすると大きくなります。ぜひ、じっくりとご覧ください。